テレワーク用に会社でパソコンを購入して、従業員へ渡しました。これは給与課税になりますか?
出演: … M社 経理部部長
… 顧問税理士
― M社 ―
M社経理部古門部長が顧問税理士へ、電話をかけています。
ところで、先生の事務所でもテレワーク、進んでいますか?
なかなか難しいところです。
我々の業務は、機密情報だらけですからね。
まあ、そうですよねぇ。
どうかされましたか?
弊社は製造業なんで、工員に関してテレワークというのはあり得ないんですが、営業や事務に関しては進めていかざるを得ないというか。
そうですね。
それでですね。
現状、営業職はノートパソコンを会社から貸与していますのでいいのですが、事務職はデスクトップパソコンなので、これを機に事務職もノートパソコンへ買い替えようかと考えています。
そうでしたか。
個人のパソコンで会社の業務をしてもらうわけにはいかないですから。
そうでしょうね。
こういったテレワーク用のパソコンを会社が購入して、テレワーク用に従業員へ渡した場合には、給与課税になるのでしょうか。
そのパソコンの所有者は誰ですか?
所有者、ですか?
そうです。
言い換えるとするならば、営業職と同様、パソコンを事務職へ"貸与”しますか、それともあげますか、ということです。
そういう意味では、“貸与”ですね。
1人1台の購入にはなりますが、会社出社時もそのパソコンを起点に、ディスプレイに接続して業務をしてもらうつもりでいますから。
無論、退職時には返してもらいますしね。
それならば、給与課税する必要はありませんよ。
そうですか。
それともう1つ。
どのようなことでしょう。
ノートパソコンだと画面が小さいので、テレワーク用にディスプレイを各自用意してもらおうかと思っています。
これを立替精算してもらうつもりですが、こういった場合でも給与課税にはなりませんか?
先ほどと同様ですよ。
所有者は誰ですか?
うーん。
そこをどうしようかなぁ、と。
ディスプレイを毎回運んでもらうわけにはいきませんからね。
自宅設置のままになるでしょうし。
それならば、いっそのこと個人所有物として現物給与とした方が、簡単かもしれませんね。
現物給与はいいのですが、事務職だけそのようなことをするわけにもいきませんしねぇ。
ディスプレイを所有していない人だけ、とか、そういうのもねぇ。
そうですね。
税金だけの問題ではありませんからね。
難しいところですね。
そうなんですよね。
どこまで負担するかは、会社によってまちまちですから、よく検討なさってください。
税務上は、原則、テレワークをするために通常要する費用について、その費用を負担した従業員に対して事業者が実費相当額を精算する場合には、給与として課税する必要はない、ということをまずはご認識いただければ、と思います。
ただ、パソコンのように所有者は誰か、というような備品に関してはご留意ください。
そうですね。
よく検討したいと思います。
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